
4ADは英国ポップ・ミュージック史上もっとも個性的かつ先鋭的なインディペンデント・レーベルのひとつである。1980年に設立された4ADは当初、主宰者のアイヴォ・ワッツ=ラッセルの嗜好性を強く押し出した耽美的で退廃的なサウンド・カラーを持ち、ジャケット・デザインの細部に至るまで強固な美意識に貫かれ、UKニュー・ウエイヴの代表的レーベルとして一世を風靡した。
初期の代表的アーティストはロンドン出身のバウハウスで、その後オーストラリアのバースデイ・パーティー、コクトー・トゥインズ、デッド・カン・ダンス、ザ・ザといったアーティストを輩出。初期4ADカラーの集大成がアイヴォ自らのプロジェクト、ジス・モータル・コイルである。
4ADのレーベル・カラーが大きく変化したのが80年代後半。87年のM/A/R/R/Sの大ヒット"Pump Up The Volume"はアシッド・ハウスの先駆として、1年後のマッドチェスター/レイヴ・ムーヴメントの到来を予見し、英国のポップ・ミュージックに革命的変化を促す。そして86年デビューのスロウイング・ミュージズ、87年デビューのピクシーズはいずれも米ボストン出身で、のちのグランジ/オルタナティヴの先駆けとして大きな評価と人気を得る。つまり80年代末から90年代にかけて英米を席巻した二大ムーヴメントの生起に、4ADは深く関わっていたのである。
現在の4ADは大ベテランのスコット・ウォーカー、大御所コクトー・ツインズ、モハベ・スリー、ブリーダーズといったアーティストが所属。依然として英国きっての個性派インディとして、意欲的なリリースを続けている。


