

80年代のイギリス・ニュー・ウェイヴ・シーンを語る上で欠かせないザ・ザことマット・ジョンソンの音楽的な原点が記されている貴重なデビュー作。
1961年、ロンドンで生まれたマット・ジョンソンは幼い頃から深く音楽に興味を持ち、3,4歳の頃にはすでにシンガーになりたいと思い、12歳の頃にはスクール・バンドをやっていたという。十代半ばでスタジオの仕事を手伝うことから、その音楽的なキャリアをスタートさせるがパンク〜ニュー・ウェイヴを機に友人のキース・ロウズらとグループを結成し、先鋭な音をクリエイトしていくようになる。同時にアンダーグラウンドなシーンで独自の音楽作りを行う仲間たちと交流を開始し、ガジェッツを始めとしたさまざまなプロジェクトに参加したり、コラボレイトを行う。そうした活動や音楽性を認めたのがザ・ワイアーのメンバーのギルバート&ルイスで、彼らの推薦もあって4ADからシングル、さらに3週間で作られたのが、このデビュー・アルバムである。
すべての楽器、ヴォーカルをマット一人で作ったもので、もともとマット・ジョンソン名義で、60年代サイケの名グループ、サーティンス・フラー・エレヴェイターズを思わせるサイケデリックなジャケットでリリースされたが、その後、マット一人の写真を使ったもの、さらに弟のイラストを使ったジャケットへと替わり、アルバムのアーティスト表記もザ・ザとなってしまった。
発表当初は、オリジナル・ジャケットの雰囲気やコラージュ風なサウンド作りが、当時のネオ・サイケ・ブーム的な現象と重ねて語られることも多かった(マット自身はそうした見方に対しては批判的だったが)。この後に続くザ・ザとしての傑作群に比べるとサウンドなどはシンプルこの上ないが、それだけに音作りの核は鮮明で、ザ・ザとしての歴史上のみならず、80年代前半の英シーンを語る上でも欠かすことの出来ない傑作だ。


