

シェイクスピアの『ハムレット』の一節から取られた名を持つディス・モータル・コイルは4ADのオーナー、アイヴォの夢を現実化したプロジェクトであった。
プロジェクトの原点は見過ごされたり忘れられた新旧の佳曲に改めて光りをあてたいという4ADのレーベル・オーナー、アイヴォ・ワッツ・ラッセルの夢の実現であった。その夢のためにコクトー・ツインズ、デッド・カン・ダンス、カラーボックス、ウルフガング・プレスといったレーベルの主要バンドのメンバーたちが全面的に協力して誕生したのがファースト・アルバム『涙の終結』であり、結果として初期4ADのさまざまな魅力が集結したようなプロジェクトとなった。
そのレコーディング過程においてアイヴォが思いついたアイデアを発展させたのが、この『銀細工とシャドー』で、さまざまな形でレコーディングされた断片を再構築した作品で、演奏は前回同様にコクトー・ツインズのサイモン・レイモンドを始めとして、デッド・カン・ダンス、カラーボックス、ウルフガング・プレスのメンバーたちなのだが、ヴォーカルが、前作は4ADオールスターズ的なメンツであったがここでは無名な人たちが多い。オリジナル楽曲も増えているが、もちろんカヴァーも重要な要素で、取り上げられた楽曲そのものはヴァン・モリソンやトーキング・ヘッズ、ティム・バックリー、ジュディ・コリンズなど、前作と同じく有名無名を問わず、高い音楽性で評価をされている人たちのものが続いている。
サウンドのアプローチそのものはちょっと違っているが、その静謐な前作同様で、レーベルのイメージをさらに気高いものとした。単なる一時的なプロジェクトとしてではなく、4ADを代表する一つのグループとしての認識を確立したのがこのアルバムでもある。
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