

イギリスでいち早くアメリカン・オルタナ・サウンドの扉を開けた重要な女性バンド、スローイング・ミュージズは多くのグループをつなぐ重要なキーだ。
80年代半ばにボストンでクリスティン・ハーシュと義兄妹のタニヤ・ドネリーを中心に学校の仲間と結成されたのがスローイング・ミュージズの始まりだった。ライヴ活動を始めながらデモ・テープを作り、各地のインディ・レーベルに送っていたが、それにしっかりと反応したのが海を渡ったイギリスの4ADであった。
その頃、イギリスから出てくる新しいグループのサウンドや音楽性がどんどん画一化していることに物足りなさを覚えていたレーベル・オーナーのアイヴォ・ワッツ・ラッセルは彼女たちの音に新鮮さを感じ、すぐにコンタクトを取り、契約を結ぶ。こうしてレーベルにとって初のアメリカン・バンドのデビュー・アルバム『Throwing Muses』が86年にリリースされるが4ADの知名度もあってインディ・シーンですぐに注目を集める存在となるが、クリスティン・ハーシュの書く伝統的な部分と先鋭な情感が合わさった世界は、それまでのシーンに無かったもので評価もどんどんと高まり、アメリカの新人への注目度も大きくなる(その流れにハマったのが、次にデビューしたピクシーズであった)。
逆に本国アメリカではまだまだ知名度が低かったために積極的にイギリス・ツアーを行い人気を広げ、その成果を見せることになったのがこのサード・アルバム『リアル・ラモーナ』で、ナショナル・チャートにまで上がったのだった。その後、自らのグループ、ベリーを結成して脱退してしまうタニヤも参加して、クリスティンの持っている世界だけではなくスローイング・ミュージズというグループで展開したものをたっぷりと聞けるのがこのアルバムである。

